HOME  
シンポジウム・研究集会の案内
2025年日本プランクトン学会春季シンポジウム
「珪藻研究の最前線」
   

主  催

日本プランクトン学会

後  援

日本珪藻学会

開 催 日

2025年3月15日(土)13時00分〜17時15分
      3月16日(日)10時00分〜14時50分

場  所

東京海洋大学 楽水会館(オンライン併用)

コンビーナー

松岡數充(長崎大学名誉教授/大阪自然史博物館)・
石井健一郎(株式会社SeedBank)・大塚泰介(滋賀県立琵琶湖博物館)
趣旨  珪藻は海域,汽水域,淡水域における基礎生産の多くの部分を担う重要な単細胞生物である.また様々な種が様々な環境に生育する.そのため藻類学者のみならず,水産学,環境科学,古生物学など様々な分野の研究者が研究対象としてきた.
 珪藻は中生代のジュラ紀前期に出現し,白亜紀に多様化し,現世に至るまで繁栄の一途を辿り,その種数は10万種以上に及ぶと推定されている.その極めて高い種多様性のために多様性生物学でも注目されている.さらに近年の分子系統学的研究の進展に伴って隠蔽種も次々と報告されている.また従来の形態に基づく分類体系にも矛盾があることが明らかになり,その再整理が続けられている.
 珪藻は様々な水域の環境に生息し,環境により出現する種が異なるため,古くから水質環境指標として用いられてきた.また珪藻のケイ酸質の殻は堆積物中に保存されることが多いので,過去の環境復元や地質年代の推定など生層序学的にも活用されている.珪藻類と有害赤潮原因種との関係を明らかにするなどの環境生物学的研究も進んでいる.最近では珪藻が増殖の際に吸収するCO2に注目して,高い増殖速度を持つ種類を対象としたブルーカーボンの研究素材としても注視されている.その一方で,珪藻類が産生する補助色素や不飽和脂肪酸などに注目した研究も期待されるが,それらの探索はそれほど進んでいない.
 珪藻を用いたいかなる研究を進めるにしても,その基礎として珪藻の生物学的理解が必要となる.そこで,多様な性質を持つ珪藻類を対象とした多様な研究に横糸を通し,更にその研究を高度に推進していくために本シンポジウムを企画した.
プログラム
3月15日(土)
13:00〜13:05 開会挨拶 大塚 攻(日本プランクトン学会会長)
13:05〜13:10 趣旨説明 松岡數充(長崎大学名誉教授/大阪自然史博物館)
〜珪藻研究の礎〜
13:10〜14:00 珪藻をどのように観察するか 光学顕微鏡観察の重要性とその手法 奥 修(ミクロワールドサービス)
〜分類〜
14:00〜14:30 淡水珪藻の分類 形態と分子系統解析 辻 彰洋(国立科学博物館)
14:30〜15:00 付着珪藻の分類 海産羽状類珪藻の形態と生育戦略 鈴木秀和(東京海洋大学)
15:00〜15:30 海産珪藻の分類 Chaetoceros 属を中心に 石井健一郎(株式会社SeedBank)・内野英一(株式会社プラントビオ)・関 将史(株式会社プラントビオ)
15:30〜16:00 珪藻と渦鞭毛藻の休眠細胞から見るdual nomenclature 生物命名規約における休眠胞子(化石種)の位置づけ 松岡數充(長崎大学名誉教授/大阪自然史博物館)・石井健一郎(株式会社SeedBank)

16:00〜16:15

休憩
〜生理〜
16:15〜16:45 珪藻と細菌の関係性 増殖を助ける細菌等他生物について 佐藤普也(福井県立大学)
16:45〜17:15 熱帯干潟の珪藻 高温の極限環境における珪藻の増殖 小池一彦(広島大学)
 
3月16日(日)
〜生態〜
10:00〜10:30 海産珪藻類の新たな生活史戦略 浮泥層中の珪藻細胞の生存戦略 石川 輝(三重大学)
10:30〜11:00 珪藻の固有種と外来種 外来種の増加は人新世の現象か? 大塚泰介(滋賀県立琵琶湖博物館)
〜進化〜
11:00〜11:30 珪藻は何から進化したのか 珪藻の進化史について 桑田 晃(水産研究教育機構)
11:30〜12:00 スズキケイソウの生活史と進化 淡水円心類珪藻の進化(琵琶湖―古琵琶湖を舞台にして) 斎藤めぐみ(国立科学博物館)
12:00〜13:00 休憩
〜古環境〜
13:00〜13:30 近過去の環境変遷と珪藻 珪藻化石が語る人新世の始まり 廣瀬孝太郎(兵庫県立大学)
13:30〜14:00 古環境復元と珪藻 珪藻化石から見る沿岸珪藻群集の成立時期 納谷友規(産業技術総合研究所)
14:00〜14:30 珪藻分析の新手法 セルソーターを用いた海底堆積物に産する珪藻殻のタクサごとの分離濃集 加藤悠爾(高知大学 海洋コア国際研究所)
14:30〜14:50 総合討論
<日本プランクトン学会総会のお知らせ>
シンポジウム終了後(3月16日16:00〜)に,2025年日本プランクトン学会総会を行う予定です.
3月15日の講演終了後に懇親会を予定しています.