日本ベントス学会・日本海洋学会・Census of Marine Zooplankton (CMarZ)・Natural Geography in Shore Areas (NaGISA)・Census of Marine Life(CoML)
コンビーナー
西田周平(東大海洋研)・藤倉克則(JAMSTEC)・白山義久(京大フィールド研)
日 時
2009年4月5日(日)09:00〜17:20
場 所
東京大学本郷キャンパス
理学部1号館2階206号室
趣 旨
全海洋の生物多様性に関する定量的情報の整備・拡充をおもな目的とする海洋生物センサス(Census of Marine Life: CoML)は2001年に発足し、2010年の総括を目指し活動を続けている。本シンポジウムの前半では、日本の研究グループが参加しているフィールドプロジェクトCensus of Marine Zooplankton(CMarZ)、Natural Geography in Shore Areas(NaGISA)などを中心に、CoMLのこれまでの成果と問題点について紹介すると共に、今後の海洋生物多様性研究の展望について議論する。
CoMLの活動は、歴史的資料の解析、多様な生物群毎の全海洋にわたる実地調査、海域を絞った生態系調査、様々なアウトリーチ活動などきわめて多岐にわたるが、得られた成果は最終的にOcean Biogeographic Information System(OBIS)というデータ管理システムに投入され一般の利用に供されている。一方、現在非常に多くの生物多様性に関するデータベースが運営または企画されている。これらの中には国際的な枠組みの基に全生物や広範な分類群を対象としたもの、特定分類群の分類・生態情報など対象を非常に絞ったもの、個人ベースで趣味的な色彩の濃いものなど、規模と対象において極めて多様なものが含まれる。また相互にコンテンツの大きく重複するもの、情報が不正確なもの、利用者の便宜があまり考慮されていないものなども少なくない。このように、生物多様性情報の整備・普及の社会的要請に応じた活動が活発化する一方で、データベースの乱立と競合があるように思われる。さらに海洋の生物多様性情報に付随する問題点として、種同定に関するデータの品質管理や定量的データ収集の難しさも指摘されている。本シンポジウムの第2部ではこれらの問題に焦点を絞り、既存のデータベースの概要、現状と問題点について概観し、今後のデータベースのあり方、相互連携の可能性、多様性情報の有効利用と総合化の展望等について議論する。